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本書は、「正しい戦争」観念を中心軸に据え、19世紀末頃から20世紀初頭にわたる日
本国際法学者の戦争観を、理論的次元と実践的次元の両面から考察したものである。筆者
は、当時の国際法理論上、「正しい戦争」観念が終始存在しているにもかかわらず、その論理
構造には危険な帰結も孕んでいるため、それらの法理論が戦争の実践に応用されていくと
き、「正しい戦争」観念に含まれた制限意識が影を潜め、あるいは歪んだ形で現れてしまっ
た、ということを克明に論証した。
ただ、本書の趣旨は、今日の視点に立って当時の戦争観に対して単純な批判を行うことで
はない。むしろ、それへの内在的な理解に基づいて、現代社会の一般通念と異なりながら興
味深い部分を抉り出したいことにある。戦争と平和とを単純な二項対立ではなく相互に絡
み合うものとして捉え、具体的な状況との関連において力の運用と規制を考えるべきである
と、筆者が主張する。
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